解体工事で利用できる補助金のご案内
解体工事に使える補助金・助成金について解説します。
解体工事に使える
補助金・助成金とは?
家屋・建物の解体工事では多額の費用がかかることも珍しくありません。
少しでも費用負担を減らしたいと考える方に向けて、解体工事に使える補助金・助成金の情報をご案内いたします。
補助金・助成金の種類
解体工事の際に支給してもらえる可能性のある補助金には、いくつかの種類があります。自治体により名称が異なることもありますが、主に以下のようなものがあります。
- 老朽危険家屋解体工事補助金
- 老朽危険家屋解体工事補助金は、老朽化により危険な状態にある空き家の自主的な解体を促進するための補助金制度です。長期間にわたって維持や管理がされていない家屋は、そのまま放置しておくと倒壊する危険性があります。そのような建物に対して補助金を支給し、解体を促進する目的があります。
補助金支給額は、解体費用の2割~5割程度が一般的です。 - 危険廃屋解体撤去補助金
- 危険廃屋解体撤去補助金は、危険があると判断された家屋を対象に補助金が支給される制度のことです。周辺住民の安心安全と住環境を整えるための解体工事を促進するため、補助金・助成金を支給しています。
- 木造住宅解体工事費補助事業
- 木造住宅解体工事費補助事業は、実際に耐震診断を行ったうえで倒壊の危険性が高いと判断された家屋に対し、解体費用の一部を助成する制度です。木造住宅の耐震補強工事や、解体工事の費用も一部負担してもらうことができます。補助金の支給には、木造住宅の耐震診断を受け、支給要件を満たすかどうか判断を受ける必要があります。
補助金・助成金を受けられる主な要件
解体工事の際に補助金・助成金を受けるには条件があります。自治体によって細かな条件は異なりますが、以下のようなものがあります。
- 空き家であること
- 補助金や助成金を受けられる主な条件として、空き家であることが挙げられます。長い間居住されたり利用されたりしていない空き家は、補助金支給の対象となる可能性があります。特に、市町村から「特定空家」と指定された空き家に関しては、補助金を受け取れる可能性が高いです。
放置された空き家は、倒壊したり害虫・害獣がすみついてしまい、周辺の環境に悪影響をが出ることがあります。また、放火されたり、不法投棄を行う場所として利用されるなど犯罪の温床となるリスクもあります。 - 倒壊の可能性があること
- 空き家の状態でも補助金や助成金を受けられる可能性はありますが、腐朽破損レベルが基準を超えていると補助金を受け取れる可能性がさらにあがります。破損度合の測り方は各自治体により異なり、耐震診断を用いるケースもあれば、担当者の目視や調査によりレベルを測ることもあります。
空き家の腐朽破損レベルの確認は、測定日に立ち会いが必要となります。空き家の近くに住んでいて当日立ち会うことができれば問題ありませんが、遠方に住んでいて当日の立会いが難しい場合、近所に住んでいて頼れる人に立ち会ってもらうこともできます。その場合は委任状を提出することで、正式な立ち会いを行ってもらいます。 - 築年数
- 自治体によって異なりますが、「昭和50年代後半より前に建築された建物」を条件として設定しているところが多いです。これは昭和56年(1981年)に耐震基準の法改正があったことが影響しています。昭和56年以前に建てられた建物は、今の基準で当てはめると耐震基準を満たさないことが多く、その分倒壊リスクが高いと判断されます。
- 税金を滞納していない
- 建物関連の条件を満たしていても、各種税金を滞納していると補助金や助成金を受け取ることができません。解体工事の補助金や助成金は自治体が支給していますが、その大本となっているのは国民が支払っている税金なので、税金を滞納している人に補助金・助成金が支払われないのは自然ということになります。
- 前年の所得
- 解体工事補助金や助成金は、経済的に苦しい人のための制度です。そのため、所得が高い場合は自己資金で工事可能と判断され、補助金等が受け取れない可能性が高くなります。自治体により異なりますが、前年度の所得が1,000万円以上ある場合は支給対象外となることが多いようです。
また、前年度の所得だけでなく貯金や資産を見られることもあります。一定以上の貯金や資産がある場合も、補助金や助成金を受けられないことがあります。
補助金・助成金制度の注意点
空き家の解体工事を含め様々な形で利用できる補助金や助成金ですが、気を付けておきたいポイントもあります
- 自治体によって制度が異なる
- 日本全国の市区町村で実施されている補助金・助成金制度ですが、一律で決まった制度があるわけではありません。自治体により制度が異なり、支給内容や支給条件もそれぞれなので、自分で判断せず役所などしかるべき場所に問い合わせをして正確な情報を入手しましょう。
また、補助金・助成金制度を実施していない市区町村もあります。解体工事を行う場合に補助金を申請するときは、あらかじめ自治体に制度があるかを確認する必要があります。 - 審査に時間がかかる
- 補助金や助成金の審査には時間がかかります。
補助金や助成金の利用申請を出すと、自治体の担当者が土地の場所や対象となる物件の状況について確認することになります。また、空き家の場合は倒壊の危険性や老朽化の程度などを診断ます。担当者が現地に赴いて調査することもあり、一定の時間が必要になります。
最初に役所に行って手続きをしてから補助金や助成金を受け取れるようになるまで、数週間程度かかることが一般的です。場合によっては1ヶ月以上かかることもあります。補助金の利用を検討しているなら、ゆとりをもって手続きを進めていく必要があります。 - 補助金や助成金は後から支払われる
- 解体工事の際の補助金や助成金は工事が終わった後に支払われます。補助金や助成金を受け取ることで工事費用の一部を工面することができますが、最初から受け取れるわけではないので、業者への最初の支払いは施主自らが全額負担する必要があります。
実際に補助金や助成金を受け取れるのは解体工事が終わり、領収書や証明書を提出した後になります。役所側も最終的に工事にかかった金額を確認してから、必要な分の補助金や助成金を支払う仕組みになっています。 - 補助金や助成金は絶対に出るわけではない
- 補助金や助成金は、申請すれば必ず支払われるというものではありません。各自治体にさまざまな制度が用意されていますが、それぞれの制度に審査があり、支払われる金額や対象となる工事にも違いがあります。また、申請した後必要な手続きをとり、審査を通過する必要があります。審査の条件も自治体により異なるので、事前に問い合わせるなどして確認すると良いでしょう。
年によって審査条件が変わったり、制度自体がなくなったりすることもあります。予算が決まっている場合は、予算に達した時点で受付終了となることもあります。いずれにせよ、補助金や助成金は絶対に受け取れるものではないということを意識したうえで、手続きを進めましょう。
助成金・補助金申請の流れ
家屋解体補助金の申請の流れを簡単にご説明します。
※自治体によって、申請書の提出や決定通知のタイミングが異なる場合があります。実際の申請時には自治体の手続き方法を確認のうえ実施してください。
自治体への申請
自治体窓口での申請開始から、受給資格の審査を受けるまで。
申請書の様式は各自治体で異なるため、申請予定の自治体に確認しましょう。- 自治体に事前調査を申請
- 自治体による現地調査
- 自治体からの結果通知受領
家屋解体工事
家屋解体業者を選定し、実際に家屋の解体を行うまで。
解体完了後1ヶ月以内に、「建物滅失登記」を忘れずに行いましょう。- 解体業者を選定し、見積もりを取得する
- 解体業者の決定~着工(工事前後の写真撮影)
- 解体完了・費用の支払い
完了報告書の提出
解体工事の完了をもって、完了報告書を自治体に提出。
完了報告書には「解体工事の契約書」「工事費用の領収書」「工事写真」などの添付が必要です。- 自治体へ完了報告書を提出
- 自治体による完了報告確認
- 自治体からの補助金決定通知受領
補助金の請求と受領
自治体からの補助金決定通知を受け取ったら、補助金を請求。
請求書の審査には数週間程度かかることがあります。- 自治体へ補助金請求書を提出
- 自治体が指定口座へ補助金を振り込み